発汗の重要性

人間の熱放散システムは3種類あります。放射、伝導対流、蒸発です。それぞれの方法で熱を放射していますが、人体から放出される全体の熱量における、それぞれの放出量の比率としては、おおむね放射が半分、伝導対流と蒸発で残り半分を3対2の割合となります。これは、人間にとって快適な環境で安静にしているときの状態です。

 

こうしてみると、蒸発による熱放射の割合が一番低くなります。ということは、蒸発による熱放射の重要度が、その分低いのかというとそうではないんです。

 

人間の生活は、常に環境の変化にさらされています。日本でいえば、四季があり、地球で言えば、赤道直下や砂漠地帯などものすごく熱い地域があり、逆にものすごく寒い場所もあるわけです。こうした自然環境の変化や、人間自身が動くことでも体温の上昇は起こります。
こうした変化による体温調節が必要です。

 

しかし、外気温が体温よりも高い状態にあるときは、発汗システムの大きな割合を占めていた、放射や伝導対流の効果が低下します。逆に熱が体内に入り込むようなことも起きます。
こうした状況で、有効な手段として蒸発システム、発汗が機能します。

 

ここで例を示しますと、人が走っていたとします。その人が走り続けられるのは、汗をかき続けるからです。その走っている人の体重が70キロだったとします。この70キロの人が体温を1度下げるために必要な汗の量を計算すると、約100ccになります。水分を補給しながら、汗をかいて体温を下げることで、走り続けていても、一定の体温を維持していけるわけです。

 

このように、急激な環境の変化が起きても、人間の発汗機能によって、柔軟に体温調節をすることができるわけです。

 

汗の質をよくする

発汗の重要性をお話ししましたが、今度は汗の質についてお話しします。
汗の質?そうです。汗にも質があります。この汗の質は、汗をかく機会を多く作ることで、汗腺機能が向上して、よい質の汗をかくようになります。逆に、汗をかく機会が減って、汗腺機能が低下すれば、汗の質も低下しかねないということです。

 

汗は、99パーセント以上が水でできています。ほかに、塩分と微量のカリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、重炭酸イオンなどのミネラル、電解質、そして、体の老廃物である乳酸や尿酸も含まれます。汗にも微量の老廃物が含まれますが、尿のように排泄を目的としていません。

 

この汗の成分は、血液の血漿の成分を薄めた状態のものです。汗をかいて、水分を蒸発させて体温を下げることが目的ですから、水分だけでいいのですが、人間の汗腺の機能が、完全な水だけを分泌できるようになるまで進化をしていないのです。

 

汗腺からの汗は、血液から血漿を汲み出して、その成分は濾過され再び血管に戻るのですが、このろ過機能が完ぺきではないので、微量の結晶の成分が汗となって体外に出るのです。

 

ミネラルなどの体にとって有益な成分が体外へ出るのは体にとって良いことではありません。

 

こうした血漿の成分を多く含んだ汗は、汗としての質がよくないということになります。その汗の特徴としては、汗の粒が大きく、濃度が濃くてネバネバしています。このような汗は蒸発しにくく、汗の役割りとしての体温調整の効率が悪いです。それに、体の栄養分を多く体外に出しているわけですから、大量に汗をかくと、体調不良の原因ともなります。

 

一方、質の良い汗はどうかといえば、粒が小さく、濃度の薄いさらさらした水のような汗です。蒸発しやすい汗です。

 

汗をたくさんかいて質の良い汗を流しましょう。