動物それぞれの体温調整法

哺乳類の中でも、動物の種類によって体温調整法は異なります。
人間はエクリン腺という発汗専門の汗腺を発達させてきましたが、こうした汗腺を持たないほかの動物たちは、どのように体温を調節しているのでしょう。

 

人間の身近にいる犬は、舌を出してハァハアしていますね。そのことで、口から水分を蒸発させて体温を調節しています。野生の豚やイノシシが泥の中で転がったりしています。これも泥で体を冷やす効果があります。象が鼻で水を自分の体にかけるのも同様です。

 

牛や馬は、原子アポクリン腺という匂いを出す役目のある汗腺の分泌能力を高めることで、体温調節に使っています。ですが、人間のように大気の温度に反応して汗をかくのではなく、運動することで、アドレナリンを出し、原子アポクリン腺を刺激して、汗を出すという仕組みになります。

 

人間を含む霊長類は、気温の上昇に反応して汗をかく仕組みを備え、発汗専門のエクリン腺を発達させました。

 

人類の脳と汗腺の発達

人類の進化において、脳の発達と汗腺の発達は密接に結びついています。

 

人間の中枢神経は、ほかの動物のそれとは比較にならないほどの発達を遂げました。
中枢神経は脳と脊髄から構成されています。神経を通じて情報伝達がなされ、脳でその情報をコントロールするわけですが、脳はコンピューター同様高温に弱いのです。

 

人間が生きていくために、食物を食べ、体内で代謝を行い活動エネルギーに変換をします。
生体のエネルギー通貨と呼ばれるATPを生産する工程がありますが、ここで体内に熱が発生をします。

 

この工程では、変換される活動エネルギーはおおむね30%前後に過ぎず、それ以外は熱となって放出されるのです。この熱が脳の活動にとって問題となります。

 

進化の過程で、活動エネルギーを多く摂取しても脳の活動に影響しないような体温調節ができる体温調節器官を形作ってきました。

 

人間が行っている熱放散システムには大きく分けて3種類ほどあります。
一つ目は、気温と体温の温度差で、自然に熱が体外に放出される放射です。これがすべての熱生産量の半分に当たります。

 

二つ目は、人間の体に直接触れているものを通じて熱が放出される伝導対流です。約15パーセントがこれにより熱を放出します。

 

3つ目は蒸発です。人体のほとんどが水であり、皮膚から絶えず蒸発したり、口からの呼吸とともに蒸発をして無意識のうちに熱が放出されています。これで20-30パーセント放出されます。

 

この3つの放出システムで全体の約90パーセントの熱量が放出されていきます。しかし、これらは自然に任せた熱の放出であり、環境が変わったりすると対応が難しくなる場合もあります。例えば、気温のとても高い地域に住んでいた場合などがあげられます。体温より気温が高い場合などは、一つ目の放出システムはうまく機能しないわけです。

 

こうしたことから、人類はより積極的な熱を放出するシステム、蒸発の機能を進化させてきました。

 

ご存知の通り、人間の人体は水分がほとんどを占めており、この水分が皮膚に出て、水分が蒸発するときに気化熱として体温を下げていきます。気温に連動した体温調節の機能として効率的なシステムを構築してきました。
進化の過程で、ほかの哺乳類同様にもともと匂いを発生するための汗腺である原子アポクリン腺を、体温調整に適した汗腺であるエクリン腺に進化させていきました。

 

この汗腺の進化と共に、脳も進化をして人間が形成されてきました。